通信業界インサイド~島田雄貴IT研究所

1985年の通信自由化から30年間の通信業界のインサイドストーリー~島田雄貴IT研究所

ニフティが携帯電話へ参入か、イーアクセスと共同展開(島田雄貴)

(2005年6月1日付の配信ニュース)

 

インターネット接続事業大手のニフティ(東京都品川区)が、携帯電話事業への参入について検討を開始した。

 

ADSL非対称デジタル加入者線)によるネット回線提供大手のイー・アクセス(東京都港区)が2005年5月31日、イー・アクセスが計画している第三世代(3G)携帯電話の通信設備をニフティに貸し出し、ニフティが携帯電話事業を展開する可能性について共同で検討を始めたと発表した。

 

イー・アクセスが、2005年以内に予定されている3G携帯電話の新たな周波数割当を受け、実際に事業化することが前提条件。周波数割当手続きは総務省が6月から開始し、2005年以内に割当事業者を決める方針。

 

割当を受けた場合、イー・アクセスは2006年度中にサービスを開始する予定だ。その設備を借りて事業展開するニフティの携帯事業参入も2006年度以降となる。

 

ニフティは一般の電話回線のほか、光ファイバー回線やイー・アクセスなどからADSL回線を借りてユーザーにネット接続サービスを展開。固定通信だけでなく、無線LAN(構内情報通信網)やPHS(簡易携帯電話システム)のインフラを利用して無線による接続サービスも提供している。

 

イー・アクセスの3Gサービスでは最大毎秒14.4メガ(1メガは100万)ビットの高速データ通信が可能となる見通し。そのインフラを利用することで、ニフティは従来のメニューに加え、移動中でも高速データ通信が可能なネット接続サービスを提供できるようになり、ユーザー基盤を拡充することができる。

 

また、ニフティイー・アクセスニフティがデータ通信だけでなく、音声通話についてサービス提供することも検討する。

 

イー・アクセスは、ADSL回線を提供している他のISP(インターネット接続サービス会社)にも同様の打診をしている。

 

周波数割当を前に積極的にサービス基盤の拡充を打ち出すことで、ソフトバンクなどとの競合が予想される携帯電話の新規参入競争で優位に立ちたい考えだ。

 

(2005年、島田雄貴IT研究所)

情通審がドコモなどと異なる無線通信検討

情報通信審議会(総務相の諮問機関)は、NTTドコモなど国内3社が採用したのとは別方式の第3世代携帯電話の導入について、調査を開始した。2004年1月下旬にも技術課題や評価を中間報告としてまとめる予定。導入されれば、屋外でも使える高速無線データ通信サービスなどとして提供されることになりそうだ。

 

情報通信審議会が検討する方式はニュージーランドで2003年9月、無線データ通信としてサービスが始まった。国内3社の方式に比べ、低価格でデータ通信速度が数メガビットの無線データ通信の提供が可能だ。ただ、携帯電話としては提供されておらず、別方式の技術課題を検証し、導入に向けた検討に着手するかどうかを決める。

 

同方式は既にNTTコミュニケーションズが他社と共同で実験を開始。ソフトバンクや高速インターネット接続大手のイー・アクセスも、実験用免許の取得を総務省に申請している。(2003年12月24日、島田雄貴IT研究所)

イー・アクセスがマザーズ上場(島田雄貴IT研究所)

ADSL非対称デジタル加入者線)大手のイー・アクセス(東京都港区、千本倖生社長)は2003年10月3日、東証マザーズに上場する。2003年3月にインターネット・プロトコル(IP)電話の商業サービス、2003年7月に1メガビットADSLサービスに着手するなど事業拡大しており、上場により財務基盤を強化する。

イー・アクセスの発行済み株式約16万株のうち72%が優先株ゴールドマン・サックスなどベンチャーキャピタル(VC)などに優先株を発行し、資金調達してきた。筆頭株主は2001年に資本提携し、約18%の株式を所有する日本テレコム

2002年の商法改正により、優先株から普通株への転換が上場後1カ月以降でも可能になったため、イー・アクセスは上場1カ月後に優先株全株を普通株に転換する。優先株発行で資金調達してきたベンチャー企業の上場は珍しく、株価動向が注目される。イー・アクセスADSLのホールセール(卸売り)業。NTTの局舎にADSL設備を設置、ADSL回線をプロバイダーに販売する。(2003年10月3日、島田雄貴IT研究所)

ニフティ、ADSLサービス最高速度表示をとりやめ

最高速度表記はやめます-。

ニフティ(東京都品川区、古河建純社長)は、非対称デジタル加入者線ADSL)サービスの名称から、速度をイメージさせる表現を排除することを決めた。同時にサービス加入前に、加入者に実際に提供できるおおよその速度をグラフなどで表示し、納得を得たうえで加入してもらうようにする。

 

方針変更により、従来のサービス名称「ADSL1メガコース」は「ADSLライトコース」、「同12メガコース」は「同スタンダードコース」に変える。

 

また、近く受け付けを始めるアッカ・ネットワークスイー・アクセスの最大毎秒20メガビット超の回線を使ったサービスについては「同ハイスピードコース」とする。料金はスタンダードの月額3380円より200-300円高めに設定する方針。

 

ADSLは局舎から距離が遠くなればなるほど速度が低下する。ニフティもこれまでは「最大○メガ」という表現に「最高値であり、速度を保証するものではありません」といった注記を小さく表示するだけで、利用者からの「結局どのぐらいの速度が出るのか分からない」という疑問には答えていなかった。

 

今後、ニフティは、加入見込みユーザーに対し速度の低下度合いを示すグラフなどを見せ、局舎から自宅までの距離から推定される速度の目安を示したうえで、加入してもらうようにする。実際、最大20メガ超サービスは局舎から2キロメートル以上離れると、同12メガサービスと同程度の速度しかでないため、遠距離の利用者に何も知らせずに割高の20メガ超サービスを売れば、後々のクレーム原因になると考えた。

 

ニフティは「業界が高速競争をするなかで、あえて速度を表示せず、速度低下の実態も見せるのは、営業戦略上は不利な面もあるのは承知している。しかし、顧客満足度の観点から決断した。今後同業他社にも、同じような取り組みをしてもらうよう働きかけていきたい」と説明している。(2003年6月26日、島田雄貴IT研究所)

ソフトバンクやイーアクセスがADSL調整組織(島田雄貴)

非対称デジタル加入者線ADSL)によるインターネットサービスを提供するNTT東西地域会社、ソフトバンクBBなどの通信事業者は、ADSL事業を進めるうえで発生する問題について協議するための組織を発足させることで合意した。当面のテーマとして、近く始まる最大毎秒24メガビットサービスについて、消費者に誤解を与えない表示のあり方について検討する。

 

事業者として、このほかにイー・アクセスアッカ・ネットワークス、長野県協同電算などが参加する。この調整組織は、総務省の情報通信審議会・DSL作業班でスペクトラム管理のあり方について取りまとめにかかわった通信事業者が発起人となって発足させることを決めた。

 

ADSLサービスは、加入者獲得競争が激化する一方、一束の電話線に異なる事業者が相乗りするため干渉問題などの事業者間で紛争が起きやすい土壌がある。作業班でも取りまとめ作業で一時は対立が先鋭化する場面もあったが、最終的には事業者間で協議し合意することの重要性で一致。こうした経験を踏まえ、今後発生する問題について事業者間で協議する組織を発足させることにした。(2003年5月5日、島田雄貴IT研究所)

ITU、ADSLの新伝送方式を国際標準として2003年春にも正式承認

国際電気通信連合(ITU)電気通信標準化部門は、イー・アクセスNECなど日本勢が提案した非対称デジタル加入者線ADSL)の新たな伝送方式「Annex(アネックス)I」を、2003年春にも国際標準として正式承認することにした。アネックスIは従来の日本の主流方式、アネックスC(最速毎秒12メガビット)の高速化版で、毎秒16メガビット以上のサービス提供が可能。

 

高速化対応では、アネックスIとともに、欧米提案のadslplusアネックスA、Bも国際標準として認められた。国際標準以外の方式でも利用は可能だが「国際標準なら世界的に安心して利用できる」(総務省)としている。ADSLの伝送方式をめぐっては、他社と方式の異なるソフトバンクITU電気通信部門に「アネックスCは将来廃止すべきだ」と提案したが、現在使われている方式のため、同提案は採用されなかった。(2003年2月4日、島田雄貴IT研究所)

【1990年】米IBMが1万人リストラ

アメリカの名門企業IBMが、1990年にアメリカ国内の従業員の4.6%にあたる1万人の削減計画(リストラ)を発表した。

 

大型汎用コンピュータの売上げが、1970年代から10数年間は15%ほどの伸び率を記録したが、最近は3~4%の伸び率に落ちたことが背景にある。

 

コンピュータ市場は、ワークステーションやパソコンの小型分野の時代に入りつつある。

 

その変化にやや遅れをとったといえよう。

 

IBM地盤沈下は避けられないが、市場の多様化に完全に一社で対応できるIBMのポテンシャルの高い評価は変わらない。

 

このメリットをどこまで発揮できるか。

 

戦略志向よりも、むしろ問題はきめ細かいユーザー対応が全社レベルでできるかである。

 

(1990年、島田雄貴IT研究所)